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週刊Neue Fahne

2011年09月12日号

変化し始めている「就労意識」を敏感に察知する

 会社が「社会への貢献」を謳うのが一般的となり、環境保護活動への貢献、地域社会への貢献は至極当然のこととなっている。こうした「貢献」という意識は、東日本大震災以降では特に敏感な若者を中心に働く現場にも大きな変化を起こし始めている。同時にこの変化は、自らの働き方や会社組織と個人との関係を如何に整合性あるものとしていくのか、という問題にも波及し始めていると見てとることができる。
 ただ、ここでいう「就労意識」の変化とは、学校を卒業しても就職もしない「ニート・フリーター」化を指しているのではない。マスコミでは若年者の就職難という状況から、「就職しない・できない」学生の問題を取り上げがちだ。しかし、「就労意識」の変化とは、実際に就職する段階での会社選択や、就職先での自らの「働き方」について、一つの特長があらわれはじめているということだ。その特徴とは、「なぜ自分は働くのか」「何のために自分は働くのか」ということを真剣に問い始めているということだ。そして「社会の為になる仕事をしたい」ということに結び付ける。

 こうした意識の変化は、特にこれから就職を控えている若者たちや、若手社員の間に「就労意識」の変化として現れ始めている。ただし、残念ながらまだ少数派であることは事実だ。高度経済成長期の就労感や意識に慣れ親しんでいた者からすれば、若者たちの「就労意識」を怪訝に思うのは当然だ。しかし、実際に求人広告で「実力次第で、○○万円以上の年収も可能」などという宣伝文句には、見向きもしなくなっているのは事実だ。

 これに対して「ハングリー精神が欠如している」と嘆いてもまったく意味がない。今日の若者が求めるのは、仕事から得られる達成感や仕事を通した自分自身の成長、新たな人との出会い、他者との関わりでの自分の果たしている役割を重視している。経営の側は、彼ら(彼女ら)にとっては、いたって真摯な課題であるということを理解する必要がある。これはかつて日本の職場で当然に語られてきた「働きがい」の重視や「働く喜び」の体感という意識の再来とも捉える事ができる。

 誰しもが「仕事」は、単に「お金の為だけ」とは思っていない。お金は生活の糧ではあるが、それ以上に「仕事の喜び、楽しさ」を求め、自らの働きが他者から評価・認められたいと思うものだ。働くということは、自らの誇りと信念をよりどころにしなければ、単なる苦役に終わってしまうものだ。経営の側は、こうした変化に対して「何を青臭いことを今さら…」と一刀両断に切り捨てる姿勢であってはならない。むしろ、今現在では少数派と思われる「変化」を先取りして、今後の人事マネジメントを思考していくことが重要だ。

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