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週刊Neue Fahne

2019年06月24日号

OJT担当者の心得 −10− 若手・新人に「逃げない」姿勢を涵養させていく

仕事は自分のために行うものだ。一方で会社組織や非営利組織を問わず、仕事とは自分のために「やりたいこと」だけをやるだけではつまらない。仕事を自分に課せられた「やるべきこと」をやるという姿勢で臨んだ方が楽しい。何故ならひとは自分の人生と仕事に意味を持たせたいと思うからだ。「やるべきこと」をやるということは、自分が属している組織の使命を体感し、共有することにつながる。つまり、自分の人生と仕事に意味を持たせることになる。
  仕事を行う上では、常に「自分だったらこのようにしたい」と考える癖をつけることが重要だ。それは仕事を「自分のこと」と位置づけるか、「やらされごと」と位置づけるかで、大きな違いとなってあらわれてくるからだ。

  仕事を苦役と捉えるならば「自分は会社に雇用されている身なので、会社での仕事は自分自身の問題と思えない」という思いが支配的になる。しかし、このような意識にとどまっていては、何時までたっても仕事を通して自分を高めていくことはできない。たとえ会社という組織に属していても自分に課せられた仕事は、「自分のこと」と思うことで視野が格段に広がってくる。
「自分のこと」という意識を持ち仕事を楽しく行っていく近道は、経営者意識を共有することだ。つまり、自分の仕事を行う時に常に「自分が経営者だったら…どうするか」と考えてみることだ。一社員の視点では思いつかないことも、自分が経営者であることを前提にしてみると、異なった視界が広がってくるものだ。

  経営者意識を共有するとは自らの仕事の視点を変えることにもなる。そして「雇われ意識」を払拭するということになり、仕事を行う意味づけがなされてくる。何よりも自分自身が活気と公平性のある職場づくりの主体になることができる。若手・新人は難しい仕事や厄介な仕事を前にすると、どうしても尻込みしたくなるものだ。また、仕事の途中での行き詰まり、上手く進まない状況に陥ると、「何で自分がこんな苦労をしなければならないのだろう」との思いに苛まれるものだ。特に同期や同僚の仕事ぶりを見ていると、どうして自分は彼らのようにできないのだろうと思ってしまうときがある。
  こうした他者と今の自分を比較して焦っていると、何時しかその「焦る気持ち」は嫉妬、やっかみにも発展してしまうものだ。この思いは、若手・新人にとってのある種の「壁」ということだ。こうした状況に陥った若手・新人を前にしてOJT担当者は立ちあぐんで放置してはならない。もちろん過度の叱咤激励をする必要もない。ただし、若手・新人に対して場当たり的な小手先やその場凌ぎの取り繕いをすることなく「その場に止まり仕事から逃げるな」といい続けなければならない。

  OJT担当者は若手・新人が「壁」と思う事柄に遭遇した時にこそ、支援者としての本領を発揮しなければならない。この支援の段階で重要になってくるのが、常に計画性をもって行動(取り組み)し、進捗の度合いを点検するという作業の伝授だ。計画、行動、点検を繰り返していれば、仕事上のボトルネック(障害)を発見することもでき、他者への協力要請もできるようになる。
  仕事人生は紆余極性があって当然だ。できる同期や同僚といまの自分を単純比較する必要はない。できない自分に苛立ちストレス解消をしようと思う前に、「もう一度やり直してみよう」という姿勢が、次のステージの扉を開いてくれるものだ。

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