2016年09月12日号
会社組織はあくまでも目標と方針に基づく組織“利益共同体”である。このため管理職が部下に対して発する指示・命令は、組織の原則にのっとった明確なものでなければならない。管理職が発する指示・命令が曖昧で漠然としたものであれば、部下は組織行動をとることができない。
管理職の仕事とは、突き詰めるならば部門の経営資源を最大限に有効活用して、会社が掲げた利益目標を達成することである。管理職は目標達成に向けて自らの役割と職責を果たさなければならない。管理職が部下に対して発する指示・命令は定められた管理職の機能である。部下を統率してこの機能を具体的に進めていくための最大のポイントは、責任ある指示・命令を発して部下に守らせるということだ。
最近、“部下の自主性を尊重する”という口実で、部下に対する指示・命令を嫌う管理職があらわれてきた。しかし、これは部下に対する指導放棄に等しい行為であるといわなければならない。
会社組織は任意団体ではない。部下の仕事内容は管理職によって統率されなければならない。仮に部下が“自発的にやっていると思う業務”であったとしても、それは直属の上司たる管理職の“承認”があって行われるものである。さもなければ会社組織の統制が効かなくなる。当然のことながら管理職が発する指示・命令には、組織としての強制力がある。この点を曖昧にしてはならない。
管理職は部下が指示・命令に反する行動をとったならば当然のことながら、毅然としてペナルティーを科さなければならない。従って、管理職が発する指示・命令は、情意や気分に左右されるものであってはならず、自らが発する指示・命令に対して明確な根拠と意味づけを部下に伝える必要がある。
管理職は自らの発する指示・命令が“部下に対して会社方針の具現化である”という自覚を持たねばならない。そこで管理職が部下に対して指示・命令を発する場合に次の原則を踏まえておく必要がある。
1.指示・命令は具体的で明確なければならない。
あいまいな命令は誤解のもとである。「何を、いつまでに…」と具体的でなければならない。
2.発した指示・命令には健全な権威を持たせる。
指示・命令の内容や背景を的確に説明することを前提にしながらも最終的には管理職の側に指揮命令権があることを明確に指し示す必要がある。
3.一旦発した指示・命令であっても状況にそぐわない場合には修正、撤回する勇気をもつ。
思いつきによる指示・命令は論外だが、状況に合わないと判断したならば朝令暮改も恐れない。
4.経過と結果の報告を必ず受ける。
業務行動は指示・命令に始まり、報告に終わる。スパンの長い業務の場合には、必ず中間に報告を義務化させる。
5. 部下に「任せる」範囲を明確し、結果に対して自分が責任を負う。
部下に指示・命令を発して部下に業務を行わせるということは、部下の結果に対して管理職が責任を負うということでもある。もちろん、部下の失敗に対しては厳しく叱り、失敗の原因を部下に明確に認知させる。
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