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週刊Neue Fahne

2015年10月19日号

管理職の部下育成とは「仕事を抱え込みたい」という衝動との戦い

「一から十まで自分で物事をやらなければ、気が済まない」という管理職は、決して部下を育成することはできない。そればかりか自らの成長も止めることになる。
 管理職にとっての部下指導とは、「仕事を抱え込む」ことではなく自らの行動において部下に効率的な業務スタイルを示すことでもある。

 管理職が自ら「仕事を抱え込む」理由や背景として次の諸点が考えられる。
1.部下に仕事を振るよりも自分でやったほうが速いと思う
2.部下の行動が危なっかしくて任せられないと思う
3.部下に任せていると仕事の納期に間に合わないと思う
4.部下にやる気がないから「自分がやるしかない」と思う
5. 部下に仕事を教えている時間的な余裕がないと思う
6.自分自身が具体的な作業をしていないと落ち着かない気持ちになる

 これらの理由で「仕事を抱え込む」管理職は、責任感が強いわけでも職務に忠実であるわけでもない。むしろ、仕事と作業の区別をつけることが出来ない「無能な管理職」との誹りを受けることになる。
 確かに目先のことを考えると、管理職や一部のベテランが仕事をこなしてしまうほうが安心である。しかし、管理職がこうした“安心感”に浸っていると自分自身が自らの成長を阻害してしまうことになる。同時にこういう管理職のもとでは、未熟な部下はいつまでも取り残されてしまい、結果として「いつまでも後進が育たない」という現象が続くことになる。この結果、管理職は永遠に同じことを繰り返す単なる作業員になっていく。

 管理職がこの種の行動をとり続けているならば、結果的に会社に対して大きな損害をもたらすことになる。何故ならば、会社はこうした管理職の属人的なパワーに依存して新陳代謝を失っていくからだ。この種の「仕事を抱え込む」管理職は、どのような理由をつけようとも自己満足をしているに過ぎない。さらにいえば部下の成長を恐れていることにもなる。
 管理職にとっての部下育成とは、会社組織を発展させるために必要な人材を作り出していくために“自分を超えていく部下を作り出す”という視点が不可欠だ。部下育成には時間や手間がかかることは必定だ。これを厭い苦痛と感じる管理職は、「部下の成長を望まない」ということになる。
 部下の成長がなければ業績も望めない。「部下育成に手をかけていると業績が覚束なくなる」などと発想する管理職は、自意識過剰な本末転倒した責任転嫁でもある。
 部下の育成は、会社業績に直接的に資する価値がある管理職の責務だ。同時に管理職にとって部下指導とは、自らの「仕事を抱え込みたい」という衝動と戦い自分が成長していくことでもある。

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