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週刊Neue Fahne

2015年01月12日号

「あるべき姿」に向きあい“こだわる”のが管理職

 これまで社員の意識性は職位に比例し、職位の高い者は仕事への意識性も高くなると思われていたのではないか。この考えがいまだに「職能制度」などとして残っている企業もある。
 しかし、職位が高くなれば自然に仕事に対する意識性が高まるわけではない。むしろ、ある一定の職位に達したものが、それ以上の職位が望めないと解った瞬間に会社組織の“阻害要因”に転化する危険性や弊害も散見される。

 管理職は将来的に自分自身がこうした“阻害要因”になってはならないし、“阻害要因”を発生させる側になってもならない。そのためにも部下・後輩に対して常日頃から「会社のあるべき姿」をイメージして妥協せずに“こだわる”姿勢を見せていく必要がある。「会社のあるべき姿」をイメージするとは、経営理念・方針を自身で咀嚼理解して真剣に自らの業務と向き合うということだ。
 部下や一般社員は経営理念・方針を真剣に受け止めているわけではない。それは毎日の業務において理念・方針が取り立てて必要だと感じていないからだ。ありていにいえば、日常の目の前の仕事をこなすことで精一杯と考えるのが、一般社員の通常レベルである。この傾向は業績が比較して安定している企業で顕著に発生するものだ。

 この種の企業では幹部層が少しでも気を抜くと「会社のあるべき姿」という視点は、一般社員には空念仏に転化する危険性がある。その結果コンプライアンス上の重大な欠陥も発生することになる。事故などに限らず会社の業績は常に順風満帆の時期とは限らない。こうした事態に遭遇した時に企業組織の底力を発揮するのが「会社のあるべき姿」への回帰だ。
 立ち返ることができる「会社のあるべき姿」があるならば、壁に突き当たっても、次の一手を繰り出すことができる。

 ところで、窮地に陥った段階で付け焼刃的に「会社のあるべき姿」を唱えたとしても浸透するはずもない。そこで、管理職は常に自ら先頭に立って経営理念・方針を明確にし、部下に浸透させておく必要がある。経営理念・方針とは会社が目指す価値観である。
 これを明確にするということは、社員にしっかりと理解させ、社員の価値観と共有させて向かうべき方向性(ベクトル)を合わせていくことに他ならない。もちろん個々人の価値観と会社組織の価値観との一致を無理に求める必要はない。しかし、向かうべき方向性にズレが生じている組織は組織として成立しなくなる。

 管理職は部下に対して自らの価値観や会社の価値観を強要する必要もない。しかし、管理職に求められるのは「共通して向かうべき方向性」の旗を明確にして、「あるべき姿」にこだわり、部下に対して「やってほしいことを正しく理解させ、やらせきる」ことだ。

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